Ruma coffee 金村 萌絵さん
南富良野町の落合エリアで自家焙煎のコーヒー豆を販売している「Ruma coffee」を経営する金村萌絵さん。金村さんは、冬季オリンピックに2度出場した元カーリング選手です。世界を舞台に戦ってきた彼女が現役引退後に選んだのは、地元・南富良野での暮らしと「コーヒー焙煎」という新たな挑戦でした。今回は、カーリングとコーヒーの奥深い世界、そして現在思い描いている「カフェ開業」という夢について、金村さんにたっぷりとお話を伺いました。
森が遊び場!少人数だからこそ育まれた「自立心」と「豊かな体験」
ーー金村さんは、幼少期から南富良野町の落合地区で育ったそうですね。どんな子ども時代を過ごされたのでしょうか?
金村さん: 移住してきたのは私が生まれてすぐです。父がアウトドアアクティビティを提供する「どんころ野外学校」を設立しました。周りには本当に自然しかなくて、姉や近所の子供たちと一緒に、木登りをしたり秘密基地を作ったりして遊んでいましたね。
あと「どんころ野外学校」には全国から色々な人がふらっとやって来ては仕事を手伝うようなところがあって、旅人みたいな面白い大人が常に身近にいる、そんな環境でした。

ーー小学校・中学校は少人数だったとお聞きしました。
金村さん: はい、当時は小中併設校で、全校生徒は20人くらいでした。私の学年は4人で、1つ上が1人とかそんな感じです。 少人数の良いところは、授業で発言するのが当たり前になるので発表に慣れること。そして、先生がきめ細かく指導してくれることです。小学校に入ってすぐに中学生のお兄さんお姉さんに面倒を見てもらったりして、本当に楽しかったですね。こうした少人数ならではの温かい目が行き届く環境は、すごく良かったと思います。
氷上のチェス。世界と戦った「カーリング」の奥深さ
ーーカーリングを始めたきっかけを教えてください。
金村さん: 小学3年生の時に落合に専用のカーリング場ができたんです。小学生の頃から高校生に混じって大会に出ていて、中学3年で世界ジュニアに出場する機会を得てから、本格的にのめり込みました。
ーーオリンピックにも2度出場されています。世界で戦う中で、苦労されたことはありましたか?
金村さん: 海外遠征に行くと氷の状況が日本と全然違うんです。日本の氷は滑るんですが、海外の氷は重くて曲がる。止まりも早いので、回転の掛け方を変えないと負けてしまいます。 ストーンの裏の磨き方によっても、止まりやすさや曲がりやすさが変わるので、試合前にその特徴を正確に掴まないといけません。ちょっとした違いを見極める繊細な感覚が求められる世界でした。
カーリングとコーヒーの意外な共通点
ーー現役引退後、南富良野に戻ってこられた理由は何だったのでしょうか?
金村さん: 私はカヌーもやっていたんですが、カーリング場のすぐそばを流れる空知川でカヌーができるんです。カヌーとカーリングが一緒にできる場所なんて、こんな環境は本当に他にはなくって。人が温かいのはもちろんですが、自然があってその中で自分の好きなことがやれることで、自分の故郷はとても魅力的なところだと再認識しました。


ーー現在はコーヒー豆を販売する「Ruma coffee」を運営されていますが、コーヒーの仕事を始めたきっかけは?
金村さん: 元々コーヒーを淹れたり飲んだりするのは好きだったんですが、仕事にできるとは思っていませんでした。南富良野に帰ってきて10年ほど「どんころ野外学校」で働き、子育ても少し落ち着いた頃、カーリング関係で知り合った方(コーヒー焙煎をされている方)から焙煎機を譲っていただいたんです。最初は趣味でしたが、町内で専門で焙煎をやっている人がいなかったこともあり、2年前から本格的に仕事としてスタートしました。
ーーカーリングで世界を極めた金村さんがコーヒーに惹かれた理由はありますか?
金村さん:カーリングとコーヒー焙煎は両方奥が深いと感じています。 長期間、コツコツと同じルーティンを繰り返すところとか。その繰り返しの中で「ちょっとした変化」を掴む感覚が、カーリングでアイスのコンディションを掴む感覚と似ているんですよね。 焙煎も、気温や湿度によって条件が変わります。私は飲んだ後にすっきりして、ほのかに酸味と甘みがしっかり出る「中煎り」が好きなのですが、自分の理想の味に近づくように、微細な調整を繰り返すプロセスは本当に奥深くて魅力的です。
今の夢。南富良野で「私のカフェ」を開きたい!
ーー「Ruma coffee」を起業されてから、大変だったことはありますか?
金村さん: カーリングでいろいろな経験や苦労をして、忍耐力や応用力がついた気がするので、今の苦労は「楽しい苦労」ですね(笑)。 ありがたいことに、始めてすぐに観光協会さんがドリップバッグを取り扱ってくださったり、町のコミュニティスペース「りたのいえ」でコーヒーを提供する機会をいただけたりしました。ゼロから始めたのに、多くの人に助けられて、思っていたよりも順調に進んでいます。南富良野は、新しく何かを始めたい人を応援してくれる土壌があると感じています。



ーーこれからの目標、一番やりたいことは何ですか?
金村さん: 町内でカフェを開くことです! 今は豆の販売がメインで、時々イベントなどでコーヒーを提供させていただいていますが、やっぱり自分が焙煎したコーヒーを、ゆっくり飲んでいただける空間を作りたいんです。落合か幾寅のエリアでいい場所を探しながら、なるべく早く実現させたいと計画しています。
カーリングをして、夏はカヌーをして、そして美味しいコーヒーが飲める。海外の小さなリゾートタウンにあるような、南富良野ならではの魅力を活かしたおしゃれなカフェにして、地元の人も移住してきた人も、観光客も交われるような場所にしたいですね。



移住を考えている方へのメッセージ
ーー最後に、移住や起業を考えている方へ一言お願いします!
金村さん: ヨーロッパや北米にも南富良野と同じような小規模のスキーなどのリゾートタウンはたくさんありますが、ここよりももっと不便なところが多いです。そういう所(海外の小規模リゾート地)と比べると南富良野町は外から見るよりもずっと便利で、生活しやすい場所だと思います。学校も高校までありますし、デマンドバスなどの整備も進んでいます。 今は店舗を持たなくてもネット販売からスモールビジネスを始めることができる環境もあります。自然豊かな場所で子育てをしながら、自分らしいペースで仕事をしたいと考えている方には、とてもおすすめの町です。ぜひ一度、遊びに来てみてください!