南富良野町

地域の危機を救う農業法人の軌跡と嫁いできて初めて経験する農業

くぼたfarm 久保田ご夫妻

 

今回は、南富良野町北落合で農業を営む久保田裕輝(ゆうき)さんと、結婚を機に南富良野にこられた妻の佑美香(ゆみか)さんご夫妻にお話を伺いました。

地域の課題に立ち向かう若手農家たちの取り組みと、見知らぬ土地で悩みながらも自らの道を切り拓いていった佑美香さんのリアルなお話です。

 

家族経営の限界を乗り越える。5軒の農家で挑む「モンステラ北落合」

 

ーーまずは、裕輝さんたちが立ち上げた法人「モンステラ北落合」について教えてください。どのような経緯で設立されたのでしょうか?

 

裕輝さん(以下、裕輝): 北落合の農家が5軒集まって立ち上げた団体で、現在、創立4年目になります。

北落合は幸い後継者がいる家が多いのですが、親世代が高齢化すると昔は家族だけで回せていた作業もこれからは難しくなる。「このままでは1軒の農家としてジャガイモ栽培などを続けていくことは難しい」という危機感から5軒で集まって設立することになりました。

 

 

ーー具体的にはどのような事業を展開されているのですか?

 

裕輝: メインで作っているのはジャガイモ、ニンジンなどです。それに加えて近年は新たにブロッコリーの栽培に挑戦し、今では大きく成長して収益の柱の一つになっています。また、労働力としてインドネシアからの技能実習生を受け入れたり、大型機械の導入などで家族の労働力に依存しなくても現場が回る体制を構築しています。

 

ーー組織の運営において、女性陣も活躍されていると伺いました。

 

佑美香さん(以下、佑美香): はい。実際に現場で作業を回したりするのは男性陣ですが、対人関係の調整や細やかなコミュニケーションなど、男性とは見える角度が違う部分では女性陣が引っ張っている部分も大きいんです。お互いの得意分野を活かしていると思います。

 

ーー今後の展望はどのように描かれていますか?

 

裕輝: 今後は現在の作物を軸にしつつ、飲食事業への参入や、他の作物の栽培展開も視野に入れています。また、将来的に後継者がいなくなってしまう農家さんの「受け皿」としての役割も担っていきたいと考えています。

 

 

「意味も分からず苦痛だった」日々からの脱却。自ら道を切り拓く日々

 

ーー佑美香さんは2016年に他地域から嫁いでこられたとのことですが、最初はご苦労も多かったのではないでしょうか?

 

佑美香: はい、元々は保育士をしていて農業の知識はゼロでした。嫁いできた当初は、言われた作業をただこなすだけの日々。その作業が「何の役に立っているのか」「何の意味があるのか」が全く分からず、正直、毎日が苦痛でした。

そんな状況を見かねた義父の勧めで、富良野にある緑峰高校(現富良野高校)の農業特別専攻科に進学することにしたんです。

 

ーーそこでも一つ壁があったとお聞きしました。

 

佑美香: そうなんです。当時、町から学費の全額助成が出るのは「男性の後継者」だけで、私のような「嫁の立場」の女性には制度が適用されませんでした。でも、どうしても学びたかったので町に相談したところ、町のご厚意で女性(嫁)でも全額助成を受けられるように制度を変更してもらえたんです。

 

ーー学校での学びはいかがでしたか?

 

佑美香: もう、信じられないくらいの刺激を受けました! 学校の授業だけでなく、さまざまなセミナーにも参加したのですが、そこで全道各地で活躍している熱意ある女性農業者たちと出会えたことが私にとって最大の転機になりました。「こんなにイキイキと農業に関わっている女性たちがいるんだ!」と。みんなかっこよかったんですよ。私は農家が嫌で勉強しに行ってたのに、みんな農家が好きで行ってたから。次この人たちに会う時にやっぱり恥ずかしくない自分でいたいって思うようになって

 

ーーそこから、農業との向き合い方はどう変わりましたか?

 

佑美香: 学校で知識を得たことで、今まで苦痛だった作業の「意味」が分かるようになりました。それが面白くて。後、とにかく資格をとらなければと思って。大型免許や大特、牽引免許やリフトなど、各種免許を次々と取得しました。

 

 

ーー素晴らしい行動力ですね。今後はどのような働き方を目指されているのでしょうか?

 

佑美香: 元々保育士という仕事も好きで、改めて「私は人と関わることが好きだ」という自身の適性も再認識しました。

だからこそ、今後は農業に関わりながらも、この町の教育や子育て支援にも携わっていきたいなと。農業関係の仲間達に加えて、こども達や子供を持つママ達とたくさん関わっていけたらなと思っています。

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