暮らす宿「ソラプチ」経営 鳴海さん
豊かな自然とアウトドア文化が根付く「落合地区」には、自分らしいライフスタイルを体現する移住者が集まっています。今回は、大阪から移住し、落合で一棟貸しの宿「暮らす宿ソラプチ」を営む鳴海さんにお話を伺いました。決して「根っからのアウトドア好き」ではなかったという鳴海さんが、なぜこの町に惹かれ、どのように地域に溶け込んでいったのでしょうか。
移住のきっかけは「災害ボランティア」での出会い
– 鳴海さんは大阪のご出身とのことですが、どのような経緯で南富良野町にいらっしゃったのですか? やはり、元々アウトドアが大好きだったのでしょうか?
鳴海さん: 実はそれほどアウトドア好きというわけではなかったんです。南富良野に来た直接のきっかけは2016年の水害でした。大阪から災害ボランティアとして来た時に現場の一つが落合でラフティング会社を営む福田さんのお宅だったんです。ボランティアが終わった後、福田さんから「川の仕事を手伝ってくれないか」と誘いを受けました。最初はカメラマンや運転手といったサポート業務から入り、そこから徐々にガイドの資格を取り、この町での暮らしがスタートしました。
注:2016年8月、半月余りの間に5つの台風が北海道へ接近し記録的な大雨が降ったため空知川の堤防が決壊し、市街地等が広く浸水する被害がでました。
南富良野の「公営住宅」は超優秀!
– 移住希望者にとって一番のハードルは「住まい」ですが、鳴海さんは最初どのように暮らしていたのですか?
鳴海さん: 最初は落合の公営住宅に入居しました。南富良野の公営住宅は設備が本当に整っていて、知り合いの設備業者の人に聞くと「他の自治体と比べたらかなりいい」と言われます。何より、壊れてもすぐに直してくれる手厚さがありがたいです。僕が住んでいたのは築30数年の3LDKの物件でしたが、庭もあって、車も自分の好きなように停められて、家賃も非常に手頃です。都会ではまずありえない、抜群の暮らしやすさでした。


町内会の繋がりと、助成金で叶えた「暮らす宿ソラプチ」
–現在運営されている「暮らす宿ソラプチ」は、どのような経緯で始められたのですか?
鳴海さん: 公営住宅に住み始めて町内会に入ると、「若い人が来た!」と地元の人たちがすごく喜んでくれたんです。そこで人の繋がりができ、ある時「家を処分したいけれど家を処分するにもお金がかかる」と困っていた大家さんの十数年、空き家のまま放置されていた物件を紹介してもらいました。地域の人からは「タダでも高い」と言われた物件だったんですけど、処分費と家の価値を相殺する形で建物を譲り受けたんです。
– 宿の改修はご自身でされたと伺いました。
鳴海さん: はい。家の前の木の伐採や整地、片付け、解体など、全体の工程の7割くらいは自分でやりました。災害ボランティアの時に身につけたノウハウがここで大いに活きました。完成までに2年くらいかかりましたが、プライベート性が高くニーズが見込める上、管理もしやすい「一棟貸し」のペンションとしてオープンさせることができました。その際に南富良野町の起業支援の助成金を受けました。助成金の金額は他の市町村と比べても非常に恵まれていると思います。200万円もいただけるんです。本当にありがたかったです。


先輩移住者が築いた、地域と共にある「落合エリア」の温かい文化
–お住まいのある落合は移住者の方が多いと聞きますが、昔から住んでいる地元の方々との関係性はいかがですか?
鳴海さん: 非常に良好です。これは、アウトドア事業者の先輩たちが何十年もかけて築いてきてくれた文化だと思うんです。「地域の人と関わりながら商売をしていく」という精神が根付いています。ラフティング事業者にとって一番忙しい夏場でも、ちゃんと予定を空けて一緒にお祭りをやったり、ご飯を食べたりすることを丁寧にやっていると思います。
夏の神社祭に向けての「しめ縄作り」なども、移住者と昔からいる人が一緒になって手で編んでいます。外から来た人を自然に受け入れてくれる、温かい土壌があるのが落合の大きな魅力です。
やりたいことがたくさんありすぎる
–今後、南富良野でさらにやってみたいことはありますか?
鳴海さん: やりたいことだらけですね(笑)。今ここを宿にできたので、これをもう少し増やしたいという気持ちがあります。また、元々は大学で教育のことを勉強していたので、教育や福祉の分野にもっと関わっていきたいです。この宿の空間や自然環境を使って、子どもたちや大人たちに「学ぶ機会」を持ってもらえるようなベースにしていけたらと考えています。
– 最後に、これから移住を考えている方へメッセージをお願いします。
鳴海さん: 僕みたいに、この町でスモールビジネスをやってくれる人が、年に1組くらいポロポロと来てくれたら嬉しいです。町の助成金を使って事業を起こし、長く腰を据えてくれるような方ですね。やりたいことがたくさんあって飽きない町なので、一緒に遊んだり働いたりできる新しい仲間をお待ちしています!

