南富良野町

「この町が好きだ」と言う人が増えるようなことがしたい。

リラクゼーションサロン経営・りたのいえ運営ディレクター 石附 めぐみ さん

 

南富良野町へ移住し、リラクゼーションサロンの経営や地域コミュニティ「りたのいえ」の運営ディレクターとして活躍する石附めぐみさん。「この町の自然も空気も人も大好き」とおっしゃる石附さんに、お仕事や地域コミュニティのこと、そして南富良野町の魅力についてお話を伺いました。地方移住や自然豊かな環境での起業を考えている方にとって、ヒントが詰まったインタビューです。

 

意図せず始まったリラクゼーションの道

 

――ご出身と、リラクゼーションのお仕事を始めたきっかけを教えてください。

 

山形生まれの札幌育ちです。大学卒業まで札幌で過ごし、その後は就職で関東(横浜・埼玉)に9年ほど住んでいました。私が就職活動をしていた時期はいわゆる「就職氷河期」で、なかなか内定がもらえない状況でした。たまたま合格したのが関東のリラクゼーション系の会社でした。

ですから最初からこの仕事を目指していたわけではなく、社内研修で技術を身につけたのがスタートでした。

 

 

 

――南富良野町へは2022年に移住されたとのことですが、最初の印象はいかがでしたか?

 

「何もない」とは聞いていましたが、来てみると本当に何もないなと思いました。移住してきたのは3月で、まだ雪も残っていましたし。

でもすごく自然や空気が良いなと思いました。すぐにあたりの景色が好きになってバスに乗って、富良野やトマム、帯広などあちこちへ出かけていました。周辺をいろいろ見て回りたいという気持ちが強かったんです。

 

――移住後、どのようにしてサロンをオープンされたのでしょうか?

 

移住当初は無職で、道の駅や給食センターでパートでもしようかなと考えていました。

ですが、せっかく身に着けた技術があるのだからという思いもあり、住んでいた借家の大家さんにダメもとで相談したところ、許可をいただけたので、自宅の空いていた1部屋を使い、移住した年の6月にサロンをオープンしました。

 

――その後、現在の独立した店舗(コンテナハウス)を建てるに至った経緯と、そのご苦労を教えてください。

 

ありがたいことに夜や休日のご予約が増えてくると、夫が家でゆっくりできないという問題が出てきたんです。そこで専用のサロンを持つことを考えるようになりました。物件探しですが、これが大変でした。商工会や知人にも相談して空いている物件をいくつか紹介していただいたものの、広すぎたり条件が合わなかったりで。そもそも民間の賃貸物件がほとんどなくて。

最終的には土地を借り、そこにコンテナハウスを建てました。自分にとっては、かなり大きな投資ではありましたが、覚悟を決めてスタートしました。ないならない中で自分で方法を考えて、出来る範囲で「スモールスタート」をするのがこの町で起業している人たちに共通する姿勢だと思います。

 

 

 

 

――リラクゼーションのお仕事をしていて、楽しいことや嬉しい瞬間はどんな時ですか?

 

私は「体と心のオタク」なんだと思います(笑)。この仕事の楽しさは、お客様と長くお付き合いができて、その方の人生のステージに合わせて体や気持ちが変わっていくのを一緒に共有させてもらえることです。

「人間」という存在そのものが面白いと感じているんですよね。リラクゼーションは何かを治す医療行為ではなく、その人が本来持っている自然治癒力や「癒しのスイッチ」を押してあげる仕事です。南富良野の手つかずの自然やゆとりのある空気の中で施術を受けるからこそ、体にスッとスイッチが入る。この町で施術をするからこそ生み出せる価値があると感じています。

 

 

「りたのいえ」の運営:夢と現実のすり合わせ

 

――地域コミュニティ「りたのいえ」の運営にも深く関わっていらっしゃいますが、お仕事と両立する上でどのようなご苦労がありましたか?

 

最初は「こんなことができたらいいな」という夢を語り合う、井戸端会議のような集まりでした。でも、実際に施設を持ち、お金が動き、事業として継続していくフェーズになると、運営を続けるための現実的な対応が必要になってきます。私はスタートからではなくクラウドファンディングのタイミングから運営に関わるようになったのですが、想いの強さゆえの意見の食い違いや、現実的なランニングコストの問題など、メンバー間でのすり合わせには葛藤もありました。

 

――そんな「りたのいえ」のこれまでの企画の中で特に好きな企画は何ですか?

 

いくつかあるのですが、まず餅つきです。子どもからお年寄りまで世代を超えて地域の人が集まり、みんなが笑顔になる。その光景を見た時、「このために『りたのいえ』をやっているんだな」と実感しました。

 

 

 

次に神社掃除。地域の伝統芸能で、今は目にする機会が少なくなっている「獅子舞」がきっかけでした。いきなり獅子舞を復活させるのは難しいので、せめてメンバーで神社の掃除をしようということになりました。神社の手水舎も花手水で飾りました。札幌で住んでいたマンションのすぐ近くに、花手水で有名な神社があって、ぜひやりたいと思っていたんです。掃除の後に「獅子舞の映像」の上映会を行いました。とても意義のある取り組みだったと思っています。

 

 

 

そして異業種交流会。この町で何かを始めたい、スモールステップを踏み出したいという人たちが知り合うきっかけの場として、とても面白い試みになっています。

「りたのいえ」では、運営メンバー自身がまず楽しむことを大切にしています。楽しそうな場所には人が集まり、そこからまた新しいエネルギーを持った人たちが何かを起こしていく。そんな場所であり続けてほしいと願っています。

 

これから目指す未来と、南富良野町の魅力

 

――最後に、お仕事や「りたのいえ」を通じて、今後目指していきたいことを教えてください。

 

 

現在、「地域限定旅行業」の資格取得に向けて準備を進めています。観光客がただ通り過ぎるだけでなく、周辺の町も含めた地域の素晴らしい自然や魅力的な人・お店をパッケージにして、既成のツアーにはない深い体験を提供したいんです。新しい事業展開として、実はすでに設立予定の会社名も決まっています。完全に前のめりなフライングですが(笑)。

私が一番やりたいのは、「この町が好きだ」と言う人が増えるようなことをすることです。

南富良野町の良いところは、手つかずの自然があり、ゆとりのある空気があり、そして何より、強いこだわりを持った「面白い人」がたくさんいることだと思います。外から来る人にその魅力を知ってもらうことで、私自身も含めた地元の人間が「いい町だよね」と誇りを持てる。そんなきっかけを作っていけたら嬉しいです。

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