南富良野町

「お客様の問題解決 ✕初期投資0」 南富良野でのスモールビジネスの可能性

 

ほしざわや故郷店 店長 盛田 けい子 さん

 

北海道・南富良野町にある道の駅のフードコート。そこで人気を集めるおむすびと豚汁のお店「ほしざわや故郷店」で店長を務める盛田さんは、移住後に地域と深く関わりながら、自ら課題を見つけ、新たなスモールビジネスの種を育てているお一人です。南富良野に移住してきた経緯から、この町だからこそ見えてきたビジネスの可能性、そして「自ら動くこと」の大切さについて、たっぷりとお話を伺いました。

 

偶然の縁で南富良野へ。第一印象は「寂しい町」だった!?

 

―― まずはご出身と、南富良野町に移住された経緯を教えてください。

 

盛田さん: 生まれは網走で16歳から札幌、20歳で東京に行き30歳で札幌に戻ってきました。その後は札幌で飲食の世界で仕事をしており、夢だったカフェをオープンしましたが失敗しまして。そんな時にFacebookでたまたま料理研究家の星澤幸子先生が南富良野でお店を開くという情報を目にしたんです。実は若い頃から先生のことはお仕事を通じて知っていまして、「富良野なんだ!すごい!」と思って、すぐに「私、やります!」と立候補しました。それがきっかけで5年前に移住してきました。

 

                TVでおなじみの南富良野町出身 星澤幸子先生

 

―― 思い切った決断ですね!実際に移住して、南富良野の第一印象はいかがでしたか?

 

盛田さん: 3月の終わりに初めて来たんですが、小雪が降っていまして。先生が「ここが映画『鉄道員(ぽっぽや)』の舞台になった駅ですよ」と案内してくださったのですが、正直に言うと、南富良野の第一印象は「すごく寂しそう」でした(笑)。

でも、暮らし始めてだんだんこの町の良さがわかってきたんです。例えば、道を歩いている小学生の子供たちが、普通に「こんにちは!」って挨拶してくれるんですよ。本当に感動しました。 それに、ご近所付き合いや「おすそ分け」の文化が当たり前にあるんです。『あなたにも食べてほしい』と思ってもらえていると感じて、すごく嬉しい。だから私もささやかでもお返ししたいなって思っているんです。隣の家の人が留守の間に雪かきをしてくれていたこともありました。帰ってきたら綺麗になってるんですよ。そんな助け合いが自然に行われていることに、すごく幸せを感じています。

 

「ほしざわや故郷店」でのやりがいと、直面した“冬の壁”

 

―― 「ほしざわや故郷店」の店長としてのお仕事はいかがですか?

 

盛田さん: 先生が推奨している五分づき米のおむすびなど、健康的な家庭料理を出しているんですが、「美味しいよ」と言ってもらえるのが何より嬉しいです。観光客の方だけでなく、「ここのおむすび美味しいから」と言ってくれるリピーターの方や地元の方もいて、作っていて本当にやりがいを感じますね。

 

 

―― 順調にお店を切り盛りされている一方で、何かご苦労などはありましたか?

 

盛田さん: 冬はお客様の数が激減するため、11月から3月までの間、お店は休業になります。だから私は冬の間、町内のセブンイレブンで働いています。

そこで、「どうすれば冬でも人が来るんだろう?」と考えるようになりました。ただ待っているだけじゃなくて、町全体で人を呼ぶ仕組みが必要なんじゃないかって。

 

「ちょっと遊べる場所」が人を呼ぶ。町へのパブリックコメント

 

―― そのことが町にパブリックコメントを出すことにつながったのですか。

 

盛田さん: はい。一番伝えたかったのは、「冬に誰でも気軽に”少し”遊べる場所」を作ることなんです。スキー場のような「ガッツリ遊ぶ」場所ではなく、通りすがりの人が「”少し”遊べる」場所が良いんじゃないかなって。スキーウェアを着ていなくても、お子様連れのファミリーやご年配の方も、マシュマロを焼いたり、ホットチョコレートを飲んだりしながら、ちょっと雪と触れ合えるような場所。あまりお金をかけずに作れるのではないかなと思って。人が集まれば、飲食店の冬の営業や雇用にも繋がりますからね。そういう思いがあって町にパブリックコメントを出してみようという気持ちになりました。

 

「便利屋」の経験で確信した、「需要は確かにある」

 

―― スモールビジネスという視点で、ご自身でも新しいことに挑戦されたとか。

 

盛田さん:フードコートが 休業している冬の間「便利屋」を始めてみました。チラシをポスティングしたり、セブンイレブンや旭川信金、情報プラザに掲示させていただいたら何件か依頼が来て。庭木の剪定や個人宅の清掃、寮の清掃などをやらせていただきました。「ほしざわや故郷店」が営業を再開するのでお断りした4月以降の依頼もありまして、需要はあるんだなって実感しました。「週に何回か、数時間だけ掃除に来てほしい」というニーズがすごくあるんです。今やってくれる人が欲しいけど、町で働ける人はもう出払っているから。

 

―― まさに地域の「困りごと」ですね。

 

盛田さん: そうなんです。プロのハウスクリーニングのような専門的な掃除はできなくても、日常的な掃除をするだけで「本当に助かった」と喜んでもらえる。人の困っている問題を解決してあげることが、立派なビジネスに繋がるんだと確信しました。

 

 

尊敬する先輩たちのように「スモールスタート」で

 

―― 今後、南富良野で挑戦してみたいことはありますか?

 

盛田さん: 今やっている飲食の仕事も好きですが、いずれは自分で起業できたらという思いはあります。

南富良野には、何もないところから自分で仕事を作り出して、スモールビジネスを軌道に乗せている先輩がたくさんいます。私もその先輩たちのようにスモールスタートで、何か自分のビジネスを形にしたいですね。

 

―― 南富良野町が、今後どんな町になっていってほしいですか?

 

盛田さん: 「面白い人」がいっぱい増えてほしいです!何かを変える人のことを私は“変人” って言ってるんです(笑)。今までにないものを作る人。そういう人が増えたら、この町はもっと楽しくなる。 そういう人が仕事を生み出せば新しい雇用や経済効果も生まれると思うんです。

 

移住と起業を考えている方へ。大切なのは「最初の一歩を踏み出すこと」

 

―― 最後に、移住や起業を検討している方へのアドバイスをお願いします。

 

盛田さん: ネットの情報は、ほんの一部でしかありません。いいことも悪いことも実際に来て、自分の目で見て体験してみなければわからないと思うんです。

私は何でもやってみて納得しないと気がすまない質なのですが、最初の一歩を踏み出さなければ何も始まらないと思ってます。私自身、自分の意思で一歩を踏み出したからこそ出来たなと思える体験がいくつもあります。最初からお金をかけたりせず、できることから挑戦すれば次にやるべきことが見えてくると思ってます。

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